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  • はじめに

  • このブログは慶應義塾大学SFC松原研究室で行っている研究会の内容を中心に紹介しています。主な内容はTAやSA(大学院生や学部生による授業補助員)によってアップされておりますが、最終的な管理責任は松原弘典本人にあります。2012年度は政策メディア研究科修士課程の
    西山康史さん/
    yasu0729(at)sfc.keio.ac.jp
    後藤優実さん/
    yumiten(at)sfc.keio.ac.jp
    を中心に運営されています。授業に参加する学生のための連絡場所であり、sfcに進学を考えている方々への研究室からの情報発信の場所でもあり、広く建築や都市に対して興味のある方にも開かれている場所にしたいと思っています。よろしくお願いします。


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  • 慶応義塾大学SFC
    松原弘典研究室
    郵便番号252-0882
    神奈川県藤沢市遠藤5322
    tel: 0466-47-5111(代表)
    ext: 53033
    tel/fax:
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2012年05月15日

B1(05),B2(05)/05月14日研究会ログ

●コンゴアカデックスプロジェクト

今年度のプロジェクト課題である小学校校門について、前回議論されたレンガ積みアーチ構造と日干しレンガの配合に加え、実施設計図の作成や日程行程の確認などが行われました。

(レンガ積みアーチ構造〉
今回作成した1/2スケールのモックアップをうけて、次回は日本の既製品のレンガを使用し、アーチ部分の製作過程に必要な支保工のプランを検討して、もう一度モックアップを製作することとなりました。今後は1/50スケールでモックアップ用図面の書き出しを進めながら、並行して、レンガや支保工、合板などの材料の調達をし、再来週までにモックアップを完成させます。

(日干しレンガ〉
前回と同じく、土・セメントと藁など材料の配合を検討する必要性が見られました。日本でも実験できるよう、日本の既製品と同サイズで進めます。垂木によって型作りをする検討がなされました。

(実施設計図)
実施設計図は表紙―目次―工程表―図面―施工計画書など、プロジェクトのプランの詳細を盛り込みA3サイズで作成します。

(日程工程表)
日程工程に関しては、限られた時間内に求められる工程を完成させるために、クリティカルパス(基礎や壁など最重要事項)を確定した上で計画する必要があります。そのために、各自の渡航日を前後に延ばすことによって、今回のプロジェクトのテーマである校門の完成までの計画のアウトラインを確認しました。
前日程組(8/13 -9/14):立元、立花、西山/梶原(帰国日未定)
コア組(8/20- 9/5):松原さん、植野、鈴木(帰国日未定)
保留:安藤

来週までに各自の渡航日程を確定させ、日程工程表を完成させます。
その他にも、去年の実施設計図の確認や、渡航準備としてビザや予防注射の手配など、手際よく遂行することが求められます。

●口永良部島古民家リノベーション設計

前回に引き続き以下の3つのプロジェクトについて、松原さんからのチェックがありました。

〈寄合所設計〉
構造・内装の修正と図面に関するいくつかの指摘がありました。
・吹き上げが強いため軒出を1500→900へと短くする
・おえる寸法を軒桁下端から梁下端に変更
・雨戸は1スパン3枚とし、解放した際は収まりの良いように設計する
・大広間の床は畳とする
・アプローチ、エントランス部分を検討すること
・床下収納はエントランス付近に移動し、キッチン・トイレにはそれぞれ窓を開ける
・基礎は独立基礎として、栗石を敷き、高さは1000-1200mm程度とする
・スケッチアップはアイレベルで作成し、付近にある温泉・堤防などの周囲環境を入れる
・平面図の横には島民の方が見ても分かりやすいように基礎を含めたアクソメ図をつける

〈お祭り用照明設計〉
前回の議論を受けて、お祭りを演出する大行灯と港と集落を結ぶ小行灯の2つの提案がありました。今後は、島でとれる竹とプレカットした合板の組み合わせで照明をつくる方針です。どのように形に落としていくか具体的提案が引き続き求められます。

〈体育館仮説間仕切り設計〉
滑らかな美しい曲線を作りだすため、釣具にかける穴数をふやし、短い直線の集合によっての解決を目指しましたが、ワイヤー数を増やす必要が出たため断念しました。代わりに、布の下に設置する土のう数を増やすことで曲線を操作する案に決定しました。またワイヤーの留め位置に関して、体育館の柱間と手すりの間隔が違うため、ピッチを変化させる必要があります。毎度、各部のコンビネーション工夫によってイメージする形に近づきつつあります。次回までに図面のアップグレードが求められます。

●のりうつり建築設計

今週は前週から更新された図面と模型に加え、手描きパース、仕上げ表、のりうつり設計の内容提案が用意され、松原さんから以下のような指摘がありました。

(アドバイス)
[図面]
・スケールにあった線の設計をする
[模型]
・素材を表現する
・設計者の意匠を正しく表現するためにも、細部まで忠実に再現する
[パース]
・写真をなぞるのではなく、構成を立体的に把握するためにフリーハンドによって描き、練習を重ねる
・メジ、寸法を書き込む
・色は設計者の意図を表現するため以外は基本的に使わず、白黒だけでテクスチュアを表現し、外部環境を表現する場合は写真を張り付ける
・消失点を意識して立体を表現する
[のりうつり設計]
・設計者の意図を捉えた上で、設計者になったつもりでアレンジを加える
・そのためにも設計者・住人の方に訪問させていただけるよう連絡をとる
[仕上げ表]
・材料は記号化して、パースと対照できるようにする

今回は各自、完成度・進行度の差が見られました。来週までには、今回の指摘を踏まえ、成果物の精度を高めてくることが課題となっています。各自の取り組みの意識が問われています。

各々がそのプロジェクトを通して、今の自分と向き合い、弱点を克服し、どのように成長していくのか。中間地点を目の前にした今、自分のゼミに対する関わり方について考えさせられました。(西藍子)

AE(06)/05月14日授業ログ

第6回目の講義のテーマは、「"日本風"はこれからも必要とされるのか」でした。
一束単に日本風といっても、その実態は画一的なものではありません。今回は日本風の特徴や違いについて、比較評価軸を明確にして講義が行われました。

日本において、外側からの評価が「日本風」を顕在化させました。ドイツの建築家ブルーノ・タウトが訪日した際、ヨーロッパの石造にはない庭と建物が混成一体化した桂離宮を絶賛しました。この出来事は桂離宮に「日本風」を見いだすきっかけになり、近代の日本の建築が「日本風」という文化の価値を再評価するようになります。

縄文文化と弥生文化の比較から、「日本風」における対照的な二つの側面が見られます。二つの文化の特徴は、それぞれの土器のデザインに表れています。日本由来の縄文土器は厚手で装飾的です。一方で、大陸の影響を受けた弥生土器は薄くてシンプルです。同じ日本の文化でも、二つの土器のデザインはかけ離れています。縄文的なものが「日本風」であると主張した岡本太郎の「太陽の塔」や、赤派と白派という概念を提示した藤森照信の「神長官守矢資料館」などが事例として挙げられました。

また、伊勢的なものと出雲的なものという対比がありました。伊勢神宮では、20年に1回、建物を更新していく式年遷宮が行われています。このように、自然の中で建物はうつろうものであり残るのはシステムだけである、という考え方も「日本風」だと言えます。 それとは対比的に、出雲大社は、周囲の自然環境と対立する力強い人工物として存在していたと言われています。

また日本は外国の様式を取り入れて、洗練させることに長けています。飛鳥、天平時代に中国からの豪快で力強い建築様式が日本に伝えられました。それが平安時代を経て、国風化の中で繊細化した和様。自然と一体化したような宇治平等院鳳凰堂や浄瑠璃寺がその好例です。平安末期に登場し、俊乗坊重源によって用いられた合理的な構造、豪放な意匠の大仏様。東大寺南大門や浄土寺浄土堂がその例です。それまでの和様とは違った、大胆な構造を持たせている様式です。彼の「大仏様」とその他の 「和様」を比べると、「和様」における「日本風」がいかにやわらかくて繊細なものかがよくわかります。

小堀遠州の「二条城二の丸庭園」は、日本近世の庭の完成形とされています。また日本的数寄屋とモダニズム の融合した、堀口捨己の「岡田邸」でも西洋と日本の折衷を見ることができます。こうした統合や折衷も日本文化が得意としてきた洗練という行為の一つと言えるでしょう。

ル・コルビュジェの「国立西洋美術館」と「チャンディガール」の対比では、仕上げの違いに注目しました。前者は日本で施工されたため、コンクリートの仕上げが繊細で、精密にできています。一方で同年代にインドで施工された後者は、荒々しいテクスチャとなっています。この違いは、日本の「洗練化」という技術が、精度や生産性を向上させる一方で、それがしばしば建築の迫力をそいでしまうことを示しています。洗練化が建築に与える影響として、私達日本人に重要な投げかけを示しています。

近現代のモダニズムの渦中で、「日本風」を考えている建築家もいます。吉田五十八は日本にしかない建築を考え、数寄屋造の近代化の手法を探りました。また、谷口吉生設計の現代建築は、現代における「日本風」を表現しようとしているもののようにも見えます。

また、成績に関わる重要な連絡を二つアナウンスしますので、ご確認下さい。
■2012年度春学期「建築設計と環境デザイン」レポート
テーマ:ガイドブック的都市論を書く
条件:
・都市の具体的な場所(国内国外、現実非現実は不問)を決め、そこに関するガイドブック的都市論を書く。
・その場所に行ったことがない人を読者として想定する。そこに行きたくなるような記述を心がけること。
・図版(写真、地図、スケッチなど形式不問)を最低1枚以上付けること。
・文字数は4000字以上。A4縦位置で紙出力し、左上をホチキス止めして提出すること。
提出場所:
12回目か13回目の授業時間中にSAに手渡しし、提出のチェックを受けるものとする。

■ディベートに関して(2012年7月2日月曜日実施)
論題1:
未来創造塾計画で現在SFCキャンパスのそばに新入生が共同生活をするための塾が計画されている。大学の新1年生がここで1年間共同するにあたり全員に個室を与えるべきである。
論題2:
横浜市営地下鉄の「すべてが優先席」という考え方はやめて、優先席を限定的に設定すべきである。
なお、本日の講義資料はSFC-SFSにアップされていますのでご覧ください。(西山康史)

2012年05月11日

Talk-in 乃木坂ハウスVol.3のお知らせ


乃木坂ハウスは建築家で東京理科大学教授の岩岡竜夫さんが設計しており、SD Review 2010にも入選している建物です。乃木坂ハウスでは、月に1回アトリエを開放し、様々な分野で活躍するクリエーターの方々とディスカッションをする「Talk-in 乃木坂ハウス」という場を設けています。

今回のテーマは「スケール」です。 松原先生も「日本と中国のスケールの違いーいくつかの建築プロジェクトから」と題して話されます。寸法的な話にとどまらず、時間におけるスケールや、話し方や人間内面の哲学に対するスケールの違いなど、様々な観点から意見交換を行います。参加希望の方は、事前にメールで予約が必要です。(1)名前(2)所属(3)役職(4)メールアドレス(5)電話番号を記入の上、info(at)nogizakahouse.comへお送りください。みなさまぜひご参加下さい。(西山康史)

「Talk-in 乃木坂ハウスVol.3」
日時:平成24年6月9日(土) 17:00〜
会場:乃木坂ハウス(東京都港区南青山1丁目17―3)
プログラム:
17:00〜 トークイン @乃木坂ハウスB1F
19:00〜 懇親会 @乃木坂ハウス2F
トーク参加費:¥500(飲み物付き)
懇親会参加費:¥1500
定員:20名
USTREAMにて配信予定です。(こちらをご確認下さい。)

2012年05月08日

『建築と社会』掲載のお知らせ


社団法人日本建築協会の機関紙『建築と社会』の2012年5月号に、「中国化か江戸時代化か」と題して松原さんの記事が掲載されています。世界中から注目を集める中国市場に、日本人建築家として挑むビジョンについて、自身の中国での設計作品に触れながらレポートしています。当該号は「中国市場に挑む」特集で、その目次はこちらから見ることができます。ぜひご覧ください。(安藤数保)

AE(05)/05月07日授業ログ


第5回目の講義のテーマは「外と内の境界はどう作られるか」でした。


建築は外と内を分ける「皮」であり、外と内の関係性を制御するものです。私達の暮らす都市空間は、建築によって関係付けられた外と内の集積によって構成されています。それは建築スケールとアーバンスケールの2つに見受けられます。

建築スケールでは壁、窓の作り方に着目するとその違いが分かります。日本建築は軸組造で障子などを使った、開放的で曖昧な境界の作られ方ですが、西洋建築は組積造でアーチなどの開口の少ない閉じられた境界となっています。同様に都市スケールにおいても、日本の城下町は城壁や堀に囲まれた城の外側に町が広がっていく形式のため、都市の輪郭が曖昧であるのに対し、ヨーロッパの城郭都市は城壁によって都市全体が固く閉ざされていて、都市の輪郭がはっきりしている。日本とヨーロッパでは境界の作られ方が違うと言えます。

植栽によって、境界の在り方を試みた建築もあります。「アクロス福岡」(日建設計)、「たんぽぽハウス」と「高過庵」(ともに藤森照信)などが事例として挙げられました。かつて外に位置するはずの植栽が、外と内の境界面に位置することにより外と内の関係性に変化を与えています。

また「日本の景観」(樋口忠彦著)では曖昧に境界ができている風景を4つに類型化し、まとめられています。「盆地の景観」、「谷の景観」、「山の辺の景観」、「平地の景観」です。
 


最後に、境界の素材の工夫により昼と夜で違う表情を見せる建築が挙げられました。ヘルツォーク&ド・ムーロンの「シグナルボックス」では、ミニマルなコールテン鋼の立面をルーバー状に分割し、それらの捻りの曲率を変化させることにより、境界と光の関係性をつくりだしています。伊東豊雄の「風の塔」では、パンチングメタルで建物を覆うことで、昼間は金属のソリッドな表情を持ち外側に閉じますが、夜になると素材の開口率が大きいため照明効果によって内側まで透けて見えます。このように、時間の経過の中で外と内が反転するような境界がポーラスな素材によって作り出されています。(西山康史)

B1(04),B2(04)/05月07日研究会ログ

本日はゴールデンウィーク休暇をはさんでの研究会ということで、各プロジェクト2週間分の成果物を持ち寄っての議論となりました。

●コンゴアカデックスプロジェクト

休み中に行われた構造の鈴木啓さんとの打ち合わせをふまえ、小学校の校門の構造について詳細な議論がなされました。具体的には、レンガ積みアーチ構造のブロッックの組み方や強度、日干しレンガの配合についての検討が行われ、それぞれについて松原さんから以下のようなアドバイスがなされました。

(レンガ積みアーチ構造)
・ブロックを積む際に目地を一方向にするのではなく絡み合わせる
・x,y方向、面内,面外方向でよく考える
・来週までにアール部分を発泡スチロールを用いて1/2スケールでモックアップ

(日干しレンガ配合)
・セメント、砂、水の配合率を検討
・砂の代わりにれき石や竹の皮等を混ぜての強度実験(砂、石、木の3パターンで比較)
・現地の紫色の石を砕き入れたり、いろみ等をいかせると良い

また、来週までの課題として基礎部分の検討や渡航日程の調整、工程表の作成等についても指示がありました。

●口永良部島古民家リノベーション設計

今週は前回に引き続き、島の寄合所設計、体育館の仮設間仕切り設計のブラッシュアップと共に、お祭り用照明設計を加えた3点について話し合いが行われました。

(寄合所設計)
屋根構造9mのスパンを支える梁として登り梁が提案されましたが、2.7mスパンで3つの柱を落とすことでまとまりました。軒と屋根縁のラインが海の水平線とそろってシャープに見せられるように検討すること。また、堤防を範囲に含めた断面図、サイトプラン、模型写真、スケッチアップ等をまとめた資料を島に送ることが決まりました。

(体育館仮設間仕切り設計)
体育館内に張りめぐらせたワイヤーにジョイントで布を吊るすオーロラ案と、竹の構造に和紙を巻くパオ案について詳細が議論されました。オーロラ案については、ワイヤーと布それぞれに等間隔でハトメを打つことで、各ジョイントの組み合わせでパターンを変化出来るような構造にすることと、ワイヤーやバーの設計についても実際にモックアップして検討すること等が決まりました。また、パオ案に関しては、和紙と多面体の竹構造をいかし、お祭りを演出する大行燈への転用が検討されました。

(お祭り用照明設計)
A3サイズ1枚の合板から部材を切り出しかみ合わせて作成した2案をさらに発展させ、1枚の板から切り出したパーツが全て部材となり、立体を構成し、また1枚の板に戻せる、というようなデザインをブラッシュアップすることで方針が固まりました。

●のりうつり建築設計

自分達で描いたCAD図面をもとに、各自対象住宅の白模型を1/50スケールで表現しました。また、前回描いた図面の修正の確認とともに、松原さんから屋根の詳細構造等についてもお話がありました。

(アドバイス)
・模型の断面は塗るか紙を貼ること。その際、基礎までしっかりのばす
・基礎や壁の断面と土台の断面の色は変えること
・土台の貼り合わせの際は上面を側面より勝たせる
・対象と周辺環境の関係性が分かるよう外周もきちんと表現すること
・引き出し線の先頭には分かり易いようにふさわしい大きさで黒丸をつけること

また、来週までの課題として手描きパース、仕上げ表の作成と、のりうつり設計の内容提案が指示されました。

対象を細部までよく観察し理解を深めるとともに、各プロジェクト他の盛り上がりに負けぬよう引き続き実践的に取り組んでゆきたいと思います。(中岡詩保子)

2012年04月25日

AE(04)/04月23日授業ログ




第4回目の講義は「その場所の経済価値と建築の関係性とは」がテーマでした。
資本主義社会においては、あらゆることにマネーが付きまといます。建築も例外ではありません。メディアではしばしば建築家の持つ芸術家的な側面ばかりが取り沙汰されますが、 マネーは建築の意匠や造形にとって大きな影響力を持ちます。

伊東豊雄さんが設計した「TOD'S表参道」は潤沢な資金のもと、特定のブランドのために建設された物件です。しかし、利益追求のためにクライアントがその所有を放棄し、賃貸という形で使われているという話がありました。このことは、経済のダイナミズムの中で、建築も資産家に商業的なコマの一つとして利用されかねない現状を示しているのではないでしょうか。

また、マネー市場主義を建築によって、違った形で使っていこうという流れが近年現れて来ています。それは大きな資本の投入によって、アートをブランド化し産業や地域の活性化に繋げようという動きです。アメリカ人建築家のフランク・O・ゲーリーが設計した「ビルバオ・グッゲンハイム」や、坂茂さんが設計した「ポンピドーセンター・メス」、SANAAが設計した「ルーブル・ランス」等がその例として挙げられました。いずれの事例も、建築の持つ「人を集める力」を感じとる事が出来ました。

難波和彦さんの「箱の家」や梅林克さんの「F.O.B HOMES」は
クライアントに建築を提供するプロセスに工夫がありました。そのプロセスはいずれも商業的な価値を重視したものです。一般的に建築家の作品は1品生産が基本であるため、設計には時間がかかります。
それに対してこの二つの事例は、クライアントから建築の受注を受ける前段階として、住宅プランニングのプロトタイプがいくつか用意されています。そのため多くの部分で標準化され、低コストで設計効率も上がり数多くの住宅が実現されています。
最後に著名な建築家の商業ビルが立ち並ぶ表参道が取り上げられました。政策的な操作がないにもかかわらず、高級商業ストリートが形成され、資産価値を高められている世界的に見ても非常に珍しい事例です。
ディオール表参道やONE表参道を例に挙げ、美しいファサードの裏にある特別な資金、設備についてのお話がありました。

私たちが大学で学ぶ建築学は、構造、設備、意匠などについてのものです。しかし資本主義社会における建築というレイヤーで見直してみると、そこには「マネー」と建築の様々な関係が見えてきます。そのこともまた「建築の社会性」と言えるのではないでしょうか。今日の授業はそのような視点を与えてくれました。松原さんが講義の冒頭でおっしゃった、「世の中にただなものなどありませんよ」とは、この事を私達になげかける導入だったのではないかと思います。
(西山康史)


2012年04月24日

B1(03),B2(03)/04月23日研究会ログ

本日は前回からブラッシュアップされた成果物をもとに、具体的な議論がされました。

●のりうつり建築設計

前回の課題だった手描きの平面図と矩形図、そして今週の課題であるCAD図のチェックがありました。

(アドバイス)
・ 目地やハッチは0.1で細く出力するかさらに点線にすることで、図面にメリハリを出す
・ 建具番号記号は周りを太く、中の横線を細くする
・ 文字の背景は透明にする
・ 平面図と矩形図の寸法をリンクさせる
・ 基本的に線は黒のみ、点線の多用も望ましくない。

また、「代田の町家」の設計者である坂本一成さんからM1の後藤が原図を頂いたので、それに関する解説も行われました。
来週はGWで研究会がないため、2週間後となる次回までに、白模型を作ってくることが課題となっています。また、各自設計者や住人の方に連絡をとり、原図を見せてもらったり住宅見学させてもらう努力をするように、というアドバイスがありました。

●口永良部古民家リノベーション設計

今週はプロジェクト内で2グループに分かれ、寄合所と体育館それぞれの設計案図面が出てきました。
まず、寄合所については、海と山のコンテクストを利用し、2つの空間が存在するという提案がありました。松原さんからは、建物のプロポーションを重視し、なるべくシンプルにするべきだというアドバイスがありました。よって、屋根を切妻造にし、平面も対称性のあるデザインにするという方針に決まりました。
次に、体育館については、被せる案と吊るす案という2つの提案がありました。被せる案とは、複数の竹を組んでその周りを布で囲う、モンゴル遊放民の移動住居「パオ」を連想させるものです。そして、吊るす案とは、糸を館内に張り巡らせ、フラフープを繋げたものを上から吊るすというものです。これを受けて松原さんから、特定のポイントにジョイントを設置した糸を館内に張り巡らせ、布を吊るす案が出されました。これは、ジョイントを動かすことで食事や着替え等用途を自在に変えられるフレキシブルな空間が生まれます。今後はこの案と吊るす案をブラッシュアップしていくことになりました。

● コンゴアカデックスプロジェクト

本日は、アカデックスプロジェクトのキックオフミーティングが行われました。長谷部研究会、有志で今年から参加することになった慶應大学医学部学生(4名)、施主であり慶應大学の英語講師のサイモン・ベデロ先生、去年から約1年間コンゴに渡航していた高木勇歩さんが参加され、とても活気あるものでした。まず、1人ずつ自己紹介をした後、各団体の活動内容や現状報告をし、最後に長谷部先生とベデロ先生からお話がありました。ミーティング後は湘南台で懇親会があり、医学部の安井正人先生も合流され、とても親睦が深められたと思います。今後もこのメンバーで定期的に話し合いの機会を設けながら、円滑にプロジェクトを進めていきたいと思います。(鈴木葉月)

2012年04月18日

B1(02),B2(02)/4月16日研究会ログ

今回は、プロジェクトごとに1週間の活動や成果を発表し、松原さんの講評を交えながら話し合いが進められました。


●のりうつり建築設計

各自が前回選んできた建築について、手書きの矩計図、平面図のチェックがありました。図面の書き方や、建築の構造、設備について理解を深めることができました。図面の書き方では、線の使い分けや、文字の大きさをそろえること、特に数字の表記の仕方について指導がありました。図面のチェックでは、空調や断熱についての分析がありました。空調がどこにあるかを探すなかで、床下チャンバー方式など新たな知識を得ることができました。また、断熱材がどう使われているのか、コンクリートの壁の厚さや水回りの納まりとの関係から学ぶことができました。その他に、雨どいがどう納まっているのかよく観察するとよいという話もありました。次週は、CAD、パースから建物の空間にさらに迫っていきます。


●コンゴ・アカデックス小学校建築設計

最初に学会教育賞のパネル案のチェックがありました。松原さんからは主にパネルのレイアウトについて修正意見が出されました。全体写真を大きく貼り付けることや、英語の文章を入れること、フォントを綺麗にすることなどがアドバイスとして挙がりました。続いて校門の設計案について、各自が準備してきたA3の資料を机の上に並べて講評がありました。床のテクスチャを考えて家具を配置する案や、防衛のために堀を作って人の出入りを制限する案、シンボルツリーとしてバナナの木を校庭の真ん中に植える案など、さまざまな案が出ました。それを踏まえて案をどうまとめるか話し合いました。小学校の校門については、アーチ屋根には施工に支保工が必要、ビール瓶をアーチに埋め込んで採光してはどうか、など、具体的な案も出ました。次週は校門の平面図、立面図、模型をもとに話し合いが行われます。


●口永良部島古民家リノベーション設計

今回は、実質初の顔合わせということで、このプロジェクトの概要について松原さんから説明がありました。その後、どのプロジェクトに参加したいかの希望をとりました。集会所プロジェクトでは、兵庫県のログハウスなどの参考資料をもとに話し合いが行われました。今後は、図面おこしや、木デッキのデザインを行っていきます。体育館仮設プロジェクトでは、1人が寝ることができる寸法を測って、体育館に何人収容できるか調べるようアドバイスを頂きました。間仕切りの素材として、バレーコートなど既存の設備を再利用する案が出ました。次週は具体的な案を図面や模型にまとめて、さらに案を深めていきます。


今週は、研究会が終わった後懇親会も行われました。多くの院生、学部生が集まり、研究会や学校生活の話をして交流を深めました。さまざまな話を聞くことができ、有意義な時間を過ごすことができました。(大岩健太郎)

AE(03)/04月16日授業ログ


第3回目のテーマは「建築は人の行動にどのような影響を与えるか」でした。「住まいとコミュニティ」をキーワードに下記の事例が紹介されました。


<人間関係を表象するものとしての住宅平面>

・熊本県営保田窪第一団地 / 山本理顕、1988-1991、熊本

・住宅のプロトタイプ / 妹島和世、1992

・岐阜県営住宅ハイタウン北方 / 妹島和世、1998、岐阜

熊本県営保田窪第一団地では、設計者の考える、当時のパブリックとプライベートの在り方が明確なダイアグラムによって提示されていました。その構想は、個室とリビングの配置関係、2つのエントランス、住戸からのみアクセスできるコートヤードなどの具体的な建築設計によって再現されています。家族制度の崩壊という問題を社会背景に、建築設計という行為が最終的に人間関係を育む環境をデザインするまでに至った事例です。
 
<市民参加型の建築>

・茅野市民館 / 古谷誠章、2005、長野

・ひろしまハウス / 石山修武、1997、カンボジア

・邑楽町役場庁舎 / 山本理顕、2003、群馬

「市民参加」という視点も今回のテーマには重要です。茅野市民館は、依頼主である行政が基本計画から積極的に設計主である建築家や市民の意見を取り入れ、
反映させた公共建築です。建築設計のプロセスに市民を巻き込むことで、地域にその建築がより良く使われる事ができます。
茅野市民館では、建設の段階から大きな模型やモックアップ、ワークショップを市民に体験してもらい、より多くの人に関心が持てる仕組みの建築となっている好例です。

<コミュニティを誘発する建築>

・紙の教会 / 坂茂、1995、兵庫

建築構法について、簡単に建築をつくれることが、人の行動を誘発する可能性があります。
紙の教会は阪神淡路大震災の後、仮設的にボランティアによって設置された建築です。誰にでも建設が容易な紙の管を使うことで、建設のために人を集めることができる。結果的にコミュニティを誘発する仕組みとなっています。

これらの3つのテーマに共通していたことは、「建築を創る」という行為が単にハードな建築物の創造に留まらず、社会問題の改善やコミュニティの形成などのソフト面まで至っているという点でした。このようなことを意識する事は、人と人との関係性、つまり建築の社会性を考えることに繋がってくるのではないでしょうか。(西山康史)